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2009年2月 7日 (土)

たとえどんなに空気の匂いが変わっても

ヴォルティスは今年も高知県の春野でキャンプをしている。
春野というのは私にとって特別な場所でもある。
今から16年前、1993年の夏、春野で私はあの人と初めて会った。
あの時の空気の匂いはいまでも覚えている。
 
それから10年近く、大塚FCの周りにはいつもあの人の匂いのする空気があった。
Jリーグのような厳しい勝負の世界で感じる、時としてとてもシビアでリアルな臭いとは違う、やさしい匂いがあった。
私はあの匂いのする空気が大好きだった。
 
私は15年前、ある朝の生放送のテレビ番組でテレビカメラに向かって大塚FCがJリーグへ上がってくるのを待ってますと勢いで喋った。
全国ネットだったその番組は当然徳島でも流れていて、大塚FCのサポーターも偶然見ていたため、後にそのことを懐かしく話し合った。
あの頃の私はまだサポーターとしても若く、Jリーグをよく知っていなかった。
そこに住むことで得ること、失うことが。大事なことの意味が。
そして、10年経ったとき私は理解していた。
Jリーグがあの人の匂いのする空気とは全く違う世界であることを。
だが、あの人とその仲間たちは自分達が住む世界の空気の匂いと明らかに違う世界のJリーグをずっと目指していた。
それが彼らの大塚FCサポーターとして存在理由だったから。
そして、大塚FCは徳島ヴォルティスになった。
 
徳島ヴォルティスがJ2に昇格したとき、私はヴォルティスとは距離を置いていた。
10年もの間にJのシビアな空気をイヤと言うほど知った私は、あの人の匂いのする空気の中では生きていけなくなっていた。
いや、あの当時疲れきっていた私は、あの変わらない匂いのする空気に嫉妬していたのかもしれない。
Jはそんな甘いもんじゃやれねえよと。
それなら助けてやろうと思うべきところそう思えず、Jリーグに擦れてしまっていた自分を振り返れなかった。
Jにあがったら、あの匂いが薄くなっていくだろうということがわかっていたのに。
 
そして、今。
あの人の匂いは鳴門では確実に薄くなった。
あの人と共に入田で声を上げ、歌い、踊った人達は殆どがゴール裏から去っていった。
空気の匂いが変わってしまったからだ。
私以上にあの人の血を受け継いでいる男も、変わってしまった空気の中で自分の居場所を見つけられないでいる。
だが、それが悪しき流れだとは必ずしも言えない。
終わらないモノはない。変わらないモノはない。
変わるからこそ次が見えて、そこが目指せるのだ。
 
それでも、たとえゴール裏の空気が以前と変わっても、あの人の匂いが徳島ヴォルティスの周りから消えることはない。
何故なら、あの人がいなかったら徳島ヴォルティスはなかったのだから。
あの人の匂いのする空気を拒もうとする人がいても、ヴォルティスのサポーターであるかぎり、あの人の作った道を通ってきているのは否定できないのだから。
どんなに匂いが薄くなっても、ヴォルティスを応援する人の中にその匂いがどこかにあるから。
自分はいつだってあの人の匂いを思い出せる。自分の中にあの匂いを感じる。
それがヴォルティスを応援する全ての人の力の源であると思う。
 
なぜ、3年前一度離れたヴォルティスの応援に戻ってきたのか。
おそらく、あの人に呼び戻されたのだろうと思う。あの人の匂いが自分の中に残っていたのだろう。
ここが君のいるべき場所だよと。力になってくれよと。
残念ながらあの人と再び会うことはできなくなっていたが、私は失っていた気持ちを取り戻させてもらえた。
ヴォルティスの応援を始めたときと同じように、あの人のために何かしたいという気持ちだった。
 
私はあの人を悲しませてはならない人間だ。私はやるべきことがある。
だがあの人とは違うタイプのサポーターなので、あの人と同じ匂いの空気は作れない。
だから、私の出せる匂いを作っていきたい。それを上手く今のヴォルティスに絡ませて流れを作りたいと思う。
今はJFL時代とは違って、いろんな人がヴォルティスを応援している。
そしてJFL時代より空気の流れが早い。
その中で脱落する人がでない空気の流れになってくれるといいなと思う。
 
今季、ヴォルティスは大幅に選手を入れ替えた。
ここ3年間の低迷から抜け出そうとしている。
空気の匂いはまた変わるだろう。
でも、どんなに空気が変わろうともそのルーツがどこにあるのかは変わらない。
そして、どこかに必ずあの人の匂いのする空気がある。
そして私の中にも。
 
今年もあの人と戦う。
あの人の匂いのする空気を身体に貯めて戦う。
そしてヴォルティスを幸せなコミュニティにする。
多くの人、いろんな人が楽しめるコミュニティにするため少しでも頑張る。
それが今年の私の決意。
 
こうやってあの人のことを書いていると横でこの原稿を読みながら笑っているあの人を感じる。
あの人はいる。
また、電話が掛かってくるだろうか?
去年は出損ねたので、今度は電話に出たい。

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