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2012年6月11日 (月)

渦帝の音楽ノート 第3回 エルサレム・スリム

Jslim 好評かどうかなんてまったく気にしちゃいない渦帝の音楽ノート。
第3回はエルサレム・スリムです。
このバンドはまさに幻のバンド。
デビューアルバムの作成中に空中分解してしまったのですから。
 
このバンドにはスティーブ・スティーブンスという天才ギタリストがいました。
アメリカの人気ロックミュージシャン、ビリー・アイドルのバックバンドのギタリストとして、ビリーの大事なパートナーとして音楽シーンでは特に玄人筋で評価の高いギタリストでした。
日本でも氷室京介のバックでギタリストとして招かれ、ライブで演奏もしているのです。
そのスティーブがハノイ・ロックスのヴォーカリストだったマイケル・モンローのバンドにギタリストとして加わることになったのがことの始まりでした。
Jslim_2 バンドはベースにハノイロックスの同胞、サム・ヤッファを、ドラムにアメリカのロックバンド、シャークアイランドのグレッグ・エリスを加えた4人で1992年にスタートし、エルサレム・スリムと名前がつきました。
エルサレム・スリムとはイエス・キリストの意味です。
 
このバンド、特にマイケルとスティーブのコンビ結成は日本ではハードロックファンの間では、かなり大きな注目を集めました。
メタル/ハードロック専門誌Burrn!ではこの2人で表紙を飾り、巻頭からインタビューを含む特集が組まれました。
そして、これは結構記憶が鮮明なのですが、地元のレコード店の店頭に発売予定のデビューアルバムの告知ポスターや大きなポップが飾られていました。
スーパーバンドの扱いだったのです。
しかし...。
 
バンドは結成した1992年の初夏、期待が集まっていたデビューアルバムの作成中にスティーブが脱退してしまうのです。
何があったかは正直よくわからないのですが、それ以上にショックだったのはスティーブはすぐにモトリー・クルーを脱退していたヴォーカリスト、ヴィンス・ニールのバンドにギタリストとして加入してしまったのです。
このヴィンス・ニールはマイケルとは因縁深い相手で、実はハノイロックスのドラマーだったラズルがヴィンスの運転する車に同乗しているときに遭遇した事故で1984年に死亡。
ハノイロックスはラズルの死をきっかけにして活動が停滞、解散へと追い込まれてしまったのです。
ゆえにこの脱退劇はマイケルにかなりの精神的ダメージも与え、エルサレムスルムも解散することになったのです。
 
普通はここでバンドの何もかもが終わってしまうものなのですが、エルサレムスリムのアルバムはリリースされました。
その内容はバンドがこのアルバムのレコーディング中にトラブルに見舞われたのを表すように10曲中2曲は収録曲のデモバージョンでした。
それはまるで予定していた2曲が出来上がらなかったための穴埋めのようでした。
そもそも普通に考えればリリースされる方がおかしい、このアルバムがリリースされたのは何故か?
ここからは私の推測ですが、当時マイケルは日本が唯一のアーティストとしての計算できるマーケットでした。
アメリカのマーケットでは無名に近かったのです。
そして前述のように日本のレコード会社は大々的なプロモーションを展開していました。
アルバムの初回盤プレゼント用にTシャツのプレゼントが用意されてもいました。
後日ですが、マイケルが同年にソロとして来日したのは多分エルサレムスリムとしての来日公演の予定だったと思います。
その公演がWOWOWで放送されたのも、元々はエルサレムスリムの来日公演を放送する予定だったのではと思います。
それくらい期待を集めていた日本で、日本のレコード会社も理解を示す部分もあったと思いますが、解散したし、嫌な思い出しかないバンドのアルバムなんか出したくないという本心で押し通すことがマイケルにはできない事情もあったんだと思います。
かくしてアルバム「エルサレムスリム」はリリースされました。
 
私はこのアルバムを今でもヘビーローテーションで聴いています。
このアルバムのリリースされるまでの経緯とは関係なく、純粋にこのアルバムが好きです。
少なくとも8曲目(以下2曲はデモバージョン)までは私の中では最高のロックンロールです。
スピーディな曲や、ミドルテンポもあり、そしてドラマティックな展開を聴かせる曲もあり、そこにマイケルのヴォーカルと、これでもかというくらい切り込んでくるスティーブのギターがギリギリのバランスで乗りかかってくるのです。
しかし、スティーブにしかできないギタープレイが存分に楽しめるのです。
この後移籍先のヴィンスニールのバンドでリリースしたアルバムで、スティーブがソングライティングに関わった曲の曲調を参考にしても、エルサレムスリムの楽曲群にかなりスティーブのアイデアが盛り込まれていたのは確かで、実際はスティーブに寄りかかってたのではないかと思うくらいでした。だからあんなに攻めのギターが出来たのかと思うくらい。
しかし、中学生のときにビリー・アイドルのPVでスティーブのギタープレイを初めて聴いたときから、”スティーブはギター神”と思い込んできた私にはそれこそがもっとも期待していた部分だったのです。
 
私はこのアルバムがバンドが空中分解せずに無事にリリースされたとしても、多分このアルバム1枚でこのバンドは終わったと思います。
でも、一瞬の花として満開にも至らず生命を終えたエルサレムスリムというバンドの秘めていた可能性を思うだけでも今でもワクワクするのです。
それくらいこのアルバムは私にとってドストライクなサウンドだったのです。

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コメント

全く知らないバンドでした。
かっこいい!

投稿: 吉沢アキラ@天才研究 | 2012年6月11日 (月) 23時27分

コメントありがとうございます。機会がありましたら聴いてみてください。中古盤店やネットで入手できます。結構安いです。

投稿: AWAN渦帝 | 2012年6月12日 (火) 08時34分

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