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2012年10月11日 (木)

120分の向こう側にあったもの。

第92回天皇杯 3回戦 川崎フロンターレ 3 - 2 徳島ヴォルティス
得点:(川崎)前半26分 レナト
         後半33分 楠神 順平
                 延後15分+1 レナト
    (徳島)前半24分 アレックス
                 後半45分+1 津田 知宏
 
天皇杯というとジャイアントキリングが名物である。
今大会も2回戦で多くのジャイアントキリングが起きている。
かつては大塚FCもジャイアントキリングをいくどか起こしている。
今のようにJ2に上がってしまうともうジャイアントキリングをされてしまう側になる。
が、やはりJ1と戦うことは特別だ。
そして何より、元旦にサッカーをするのは全てのサポーターの夢だ。
天皇杯はその大会の仕組みについていつもクレームをつけられるし、つける連中もいるのだが、やはりこの不便な形式も含めて、その戦いの末に元旦での決勝が待っていることが特別な思いを抱かせるのだと思う。
 
この日の相手、川崎フロンターレとは、富士通川崎時代から何度も対戦している。
そして関東隊ともっとも親しかった土居選手の所属していたチームでもある。
昨季、今季ここまで低迷しているが、その実力はJ1でも上位クラスであり、非常に難しい相手だ。
個の力では明らかに川崎が上だが、人を使える中村憲剛は日本代表の欧州遠征で不在。代役は正直いない。
ならば、個を凌げれば勝機は必ずくる。
 
ヴォルティスはこれまでの両サイドバックの西嶋、平島をスタメンから下げ、3-4-3を採用してきた。
フロンターレが3バックで来るという情報を元に小林監督が考えた奇襲だったようだが、先週の甲府戦でも途中から切り替えた3バックの布陣が上手くいったことも後押しになったと思う。
甲府戦とのフォーメーションの違いはジョンミンをセンターに据え、左に津田、右にアレックスを配した3トップだ。
甲府戦ではドウグラス、ジオゴの2列目にアレックスが入っていた。
だが、この布陣は思っていたよりハマッた。
中村不在のため、川崎の攻めは個の突破に偏り気味で裏を狙ってくることが少なかった。
となると先週の甲府のようにダヴィやフェルナンジーニョへの対処とそう変わらない。
しかも、恐れていたフロンターレのアタッカー、レナトにしても個の突破ではダヴィやフェルナンジーニョほどではなかった。
ならば攻められる時間が長くとも、それほどに恐怖や圧力は感じない。
まだ未完成な3バックの布陣で、少ないながら経験のある戦い方を相手が取ってきてくれたのだ。
これならこっちの戦い方はまだ楽だ。
そして、そのうちチャンスはくるはずだった。
事実、ゴールにならなかったものの久々に先発の鈴木達也が決定機を作り、その後も幾度かゴールに迫った。
「この時間帯に先制したいですね。」
先制点が入ったのは、まるは氏がそうつぶやいた直後だった。
エリア右サイドでフリーでボールを貰ったアレックスが狙い澄ましたシュートをファーのサイドに流し込んだ。
願ってもない展開だった。
 
だが、直後にレナトのフリーキックが決まる。
リードはわずか1分で失った。
さすがJ1だ。
 
後半になると川崎がきっちり修正してきた。
前半躍動していたアレックスが消されてしまい、まったくシュートまでいけなくなってしまった。
そして、私が個人的に警戒していた楠神にゴールを決められ、リードを許してしまう。
ここまで後半はシュート0。
 
この日のアウェイゴール裏は30人程度の声出し部隊と、そのほかの観客で100人程度だった。
こんな展開なので、飽きた10人ほどのガキンチョどもが横断幕やまるは氏のご本尊にイタズラを始める始末。
だが、拳を顔にめり込まれたりしていたご本尊さまが怒ったのかどうかはわからないが、そんな空気を変える瞬間が最後の最後にやってきた。
後半ロスタイム。
右サイドからあがったクロスをジョンミンがヘッドがヘッドで後に流した。
ふわっとしたボールをほんの一瞬見合うフロンターレの選手たちの間に飛び込んだ津田が後半唯一のシュートを決めた。
のこり1分ない状況で、本当に最後のチャンスで追いついた。
絶叫に包まれる徳島ゴール裏。
 
試合の決着は前後半15分、全30分の延長戦に託されることになった。
 
そこからはもうハートの勝負でしかなかった。みんな、ただ唄い続けた。
いつのまにか、ガキンチョどもも、ただ見ているだけだったお客さんも、立ち上がって手を叩き、チャントを唄ってくれていた。
延長戦になり、再びチャンスを作れるようになったヴォルティスに勝って欲しいと祈っていた。
決定的ピンチも増えたが、GKのスンフンを最後の砦に必死に守った。
攻撃でもゴールラインまであと数十センチまで迫った。
今季もっとも力の籠もった応援と、もっとも死力を尽くした選手達だったと思う。
勝ちに値する、いや勝つべき試合だったと思う。
足を攣ったジョンミンは一度ピッチ外でマッサージを行い、再度ピッチに戻ったが、再び足が攣り最後は立っているのさえ困難な状態になっていた。
それでも苦痛に表情をゆがめながらルーズボールを追おうとした。
福元も足を攣っていたように見えた。
120分間戦っている選手たちが8人いた。
選手たちは限界を超えていたのだろう。
 
延長後半、アデョショナルタイムに突入した。3分。
120分戦った先だった。
左サイドからペナルティエリア近くでレナトが最後の勝負に出た。
フェイントで揺さぶる。
そこから突破してくると思った。この試合何度もあったシーンだった。
だが、ここではいきなり左足でシュートを放った。
確かにゴールネットが揺れるのが見えた。
思わず膝が崩れてしまった。
それでも残り少ない時間にすぐに切り替えて、またすぐ歌い始めたゴール裏。
だが、もう1分も試合時間は残っていなかった。
 
Ca3f05770001 このままPKだと思い込んだのがよくなかったのか?
レナトが凄過ぎたのか?
120分の向こう側という本来は存在しないはずの時間帯で、知っていたはずのサッカーの怖さに待ち伏せを喰らってしまった。
何がフロンターレと我々の明暗を分けたのか?
それを考えるだけでも腹が立つような理不尽な仕打ちを受けてしまった。
これも経験だと考えるなら、それがこの日のこの試合で与えられるなどとは受け容れがたい。
 
Ca3f0576 悔しさしかなかった。
だが、我々は徳島ヴォルティスが素晴らしいチームなのだと再認識した。
また、多くの観客が応援してくる中で、声出しに加わってくれた若い人もいて、新しい同世代の仲間が出来て喜んでいる者もいた。
試合終了直前に追いつくという、応援冥利に尽きるシーンもあった。
それを120分の先の収穫として納得することなどはできないが、この試合に参戦できたことはすごくいい経験になったと思う。
悔しさは来年J1との対戦で晴らそう、必ず。
 
そして今週末には松本山雅との対戦がある。
今季、自分が現地参戦しているヴォルティスの試合はまだ一つも勝てていない。
最後の最後で笑いたい。
きっと勝てる。
そう強く信じて松本へ行けそうだ。
それもこの日の収穫だ。
ただ、やはり勝ちたかった。
結末だけが理不尽だった。

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コメント

サッカーの神様って残酷やなって思いましたね。でも、徳島にプロチームがあってよかったと思える試合でした。

投稿: | 2012年10月12日 (金) 00時50分

そうですね。私たちはヴォルティスを応援することで生きている実感を得ていると言えると思います。

投稿: アワン渦帝 | 2012年10月12日 (金) 07時55分

(秘)

 ↓


 ↓

こっそりお伝えします。
得点者の箇所が(水戸)となってます。
修正後、このコメント自体も削除ください。

⇒ありがとうございました。(渦帝)

投稿: (^。^) | 2012年10月16日 (火) 11時14分

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