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2015年6月13日 (土)

昭和の匂い。その向こうに父親が見えた夜。~クレイジーケンバンド@赤坂BLITZ

私は昭和世代だ。といっても昭和42年の生まれなので、昭和も中後半のころだ。
この日、赤坂BLITZに来ていたお客さんには私と同年代か、少し下の人たちが殆どを占めていたと思う。
10台の頃に昭和から平成に変わったかどうかの世代だ。
つまり子供だった。
本当の意味での昭和世代とは私の両親の世代のことを指すのだろう。
母親はまだ生きているが、父親は私が20歳のとき他界した。
だから父親は平成を知らないのだ。
昭和に生まれ、昭和の内に死んだ人だった。

 
この日、ライブの序盤で映画「天才バカヴォン」でクレイジーケンバンドが担当した主題歌「パパの子守歌」が演奏された。
「天才バカボン」というTV番組はもちろん子供のころよく見ていた。
バカボンのパパは昭和の代表的なマンガのキャラクターだ。
少し哀愁も帯びたその曲が流れているとき、ふと父親のことを思いだした。
バンドが持つ昭和歌謡の香りのせいだろうか?急にいろいろな思い出が蘇ってきたのだ。
それは今日このライブに期待していたものでは全然無かっただけに驚きでもあった。

 
このバンドの魅力であり、ケンさんこと、横山剣の魅力の源泉は、ファンがかつて生活の中で毎日見ていた風景や、何気なく聞いていた音楽、刺激を受けたものと同じものを知っているからかもしれない。
前回観たちょうど2年前のBLITZでの公演では初めてみたバンドのライブだったこともあって新鮮さが上回って気付けなかったことが少し見えた気がした。
そのときはもっと若いファンが占めていたように思えた中で、自分と同世代が思っている以上に大勢スタンディングにいたこともそうだ。
”昔住んでいた家””昔住んでいた街”
クレイジーケンバンドとはそれと同じ匂いを持っていて、それがファンを魅了しているのかもしれない。
だったら、それは言うまでもなく”昔”、つまり昭和の匂いだ。

 
それでもバンドは今をしっかり生きている。
結成18年を迎え、ケンさんはライブの最後にあと2年で20周年を迎えることを告げた。
あと2年後には盛大にそのときの今を祝うだろう。
新しいシングルが7月に出て、新しいアルバムが8月に出て、ツアーは年末まで続く。
今を力強く生きていること。
それがあるからファンがずっとついてくる。
今日はニューシングルの「指輪」も披露された。
二つ前のアルバムの代表曲「円盤 - Flying Saucer -」でもとても盛り上がった。
定番曲もパワーを失っていない。「GT」や「タイガー&ドラゴン」もそう。
1stアルバムからの「踊り子」もそう。
バンドは意欲という”飢え”を持ち続けているから、18年を経ても力強いのだ。
それはそんじょそこらのバンドにはできないことだ。
若い時に強大な支持を集めても、燃え尽きるように終わるバンドも多い。
燃え尽きることに美学を感じる趣きもあるが、自分の今の年齢になってみるとわかる。それは間違いだ。
”飢え”続けないと人はダメになる。年齢に関係なくだ。
”飢え”を捨てて、楽に走ったり、評価することばかりするようになると人に一気に老ける。どの年齢でもだ。
まず自分が”飢え”ることだ。
それが生きる力になる。
クレイジーケンバンドにはそれがあると思う。

 
11人もいて「人手不足。」と、スモーキーテツニがドラを叩くタイミングを間違えた後に、ケンさんがフットペダルでカウベルを叩くキット(テツニ担当)を紹介したりして”効率化”に苦心していることを白状していた。
そういう意味でも”飢え”ている事情(笑)も少しありそうだけど。

 
父親の話に戻ってしまうが、父親は音楽の才能があった。
誰から習ったのか聞いたことはなかったが、ピアノがめちゃくちゃうまかった。
現役音楽教師のウチの奥さんより上手いと思う。
音色に抑揚をつけて弾くのが誰よりもダントツでうまかった。そういときは大概酔っぱらっていたが。
が、父の弾くピアノが奏でる曲はいつも演歌で”田端義夫ワールド”全開だった。
ホント、誰に習ったんだろう。祖父ではないことは確かだ。 
弾くだけでなく歌も唄った。十八番は「帰り船」だった。
歌も上手かったが、聞かされるこっちはポカンとするしかなかった。昭和過ぎたのだ。
父親は洋酒とジャズが好きで集めまくっていた。4chのオーディオも組み上げて書斎でいつも楽しんでいた。ヘビースモーカーでもあった。
おしゃれで大人だった。父親らしい振る舞いができる人だった。
多分今の自分でも足りてない。
浮気相手が病気になって困っていた親類に黙って金を貸してしまうような人でもあった。
輸入(外国人)系のエロ雑誌なんか持っていて(隠れて)勉強させてもらった。そこだけは昭和っぽくなかった。
そんな父親が自分が高2のとき脳梗塞で倒れた。
瀕死の淵に落ちたが、2年して退院してきた。
戻ってきた父親は後遺症で身体の自由が半分効かなくなっていて、酒もタバコも、そしてピアノも出来なくなっていた。
排泄なども介護が必要で、一番ストレスがあったのは母だったろうが、自分も父の落差の大きい変わり果てた姿にキレてしまうこともあった。
私の昭和は父が倒れたときに終わったのだろう。

 
そんな忘れていた昭和の匂いがふと思いだされたこの日のライブ。
まだファンになって数年の浅いファンではあり、クレイジーケンバンドというバンドの魅力をまた勉強させてもらったライブになった。
もっと教えてもらおう。また行こう。

 
そうそう、のっさんのギターピックを拾っちゃった。
チケットの整理番号が最後の方だったから得しちゃったな。

Ckb001


Ckb003


Ckb004


Ckb002

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