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2015年6月28日 (日)

12戦ぶりの勝利。ヴォルティス、歓喜ではなく安堵と明日への意志沸く逆転劇。

2015 J2 第20節 鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム
徳島ヴォルティス 2 - 1 ジェフユナイテッド千葉
【得点】徳島:74' 長谷川 悠、87' 津田 知宏
      千葉:6' 大岩 一貴

 
試合終了の瞬間、GKの長谷川徹はものすごい勢いで走り出し、前線で安堵の表情を作ったばかりの逆転弾を決めた津田知宏に抱きついた。
まるでジャンルカ・パリュウカのようだった。
 

津田にしても、ゴールを決めたのは一昨年のあの国立でのプレーオフ以来だった。
あの日から今日に至るまでは我々にとって地獄のような日々だった。
が、彼にとっても似ていたようで全く違う、たぶんもっと残酷な地獄の日々だっただろう。
試合に出て結果を生み出さなくてはいけないFWという立場で、彼はエースでもあったのだから。
 

幾度もゴールマウスを守り続け、選手たちの中で唯一といっていいくらい擁護されていた長谷川徹にとっても、刺さり続ける生なり文字なりの罵声に耐える津田の姿には思うところがあったのだろう。
津田の気持ちは我々にはわからないものだ。
わかるはずがない。我々は罵声を刺していた側の立場なのだから。
例え、自分はそんなことしていないなんて言ったとしても一括りであることは避けられない。
それに我々はそれを詫びる立場ではない。結果を要求する立場だ。
プロとして結果を求められるのは当然だからだ。
それで我々が悪者になっても結果がでればそれに優ものはない。
それこそ、我々が判っていなければいけないことだ。
そのために応援しているのだから。プロスポーツのチームを。
勝つことは当たり前に要求されることなのだ。
それだけを追求できること、負けたときにそれ以外のことに逃げることをせず向き合えるようになったときにプロスポーツの応援とは何なのかを知ることができる。
そう私は自分のキャリアの末に感じている。
そして勝利を追求することは、残酷にも永遠に繰り返される。
それこそ、今日の勝利もそんなルーティーンの一つでしかない。
しかし、それゆえにプロスポーツとして高みを目指し続けられる。
それが欠けていては立場や肩書きがプロであってもプロとはいえない。
それは選手もフロントもファンも、そして競技そのものも同じだ。
自身の中身がプロに徹することができなかったら。それぞれの立場で最後は足を引っ張る存在にしかならない。
それくらい思っていないと足りない。
 

なでしこジャパンとしてカナダで奮闘している女性たちも、他に仕事をして生活を支えながらプレーしており立場はプロではない。
が、彼女たちは自分たちに求められていることを理解している。
ゆえに彼女たちはプロなのだ。
 

津田はようやく結果で応えることができた。
当然求められることにやっと応えられた。
だが、ヒーローインタビューでは全く笑っていなかった。
求められて裏切った機会が多過ぎること。
それに対する非難が度を超したこともあっただろう。
飲み込み切れないほどの大きな感情となって、ヴォルティスを出ていきたくなったことも何度もあっただろう。
そう思わせた我々も褒められた人間のレベルでもなかったこともあっただろう。
いろんな感情が最初の一言が、島川さんに問われて答えが口から出るまでの数秒間で渦を巻いたはずだ。
同点ゴールを決めた長谷川悠も似たような感情があったと思うが、津田のそれは長谷川悠のそれとは比較にならないだろう。
上にも書いたが、それは我々にも原因がある感情だが、我々が謝る類のことではない。どんなに酷いことと彼に捉えられていたとしてもだ。
それがプロだからだ。
 

得たものは歓喜ではない。
これで祝うようではプロではない。
何も状況は変わっていないからだ。
だが、少なくとも今夜は安らかに眠れる安堵は得ただろう。
そして、明日からのそれぞれの仕事や生活、そして次の草津戦に挑むんだという意志が沸くだろう。
今日勝たせたのは選手、監督、フロント、サポーター、ボランティア、それぞれがそれぞれの立場で頑張ったからだろう。
だがそれは今日のものであり、明日を保証してくれるものではない。
次も結果につなげたときに評価が保たれる柔らかいものでしかない。
それを崩さないために今日頑張り、明日も頑張るのだ。
ストイックにそれを続けられる者の上にしか歓喜なんてものは下りてこない。
そしてそんな歓喜を拒絶して明日を見ることができる者が真の勝利をいつか掴めるんだと思う。
まるで面白くもない修行のように見える。
そんなもんだ。俺の23年間はそんなもんだ。
そして真の勝利なんて本当にあるのかさえ23年もやっても見えてこない。
でも、それが自分を成長させてくれたことはわかる。そして今でも成長させてくれている。
 

一つの勝利も一つの敗北も次の試合に勝つためにある。
だから、これくらいでは喜べない。
でも、選手たちには感謝する。勝ってくれてありがとう。
そして次も頼むぞと、より強い気持ちで求める。

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