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2016年12月13日 (火)

神を揺さぶった試合 ~千葉ジェッツ、劇的11連勝達成!~

12月10日(土) 豊橋市総合体育館
三遠ネオフェニックス 74 - 84 千葉ジェッツ
 
12月11日(日) 豊橋市総合体育館
三遠ネオフェニックス 84 - 85 千葉ジェッツ
 
交流戦が始まり、リーグの中での総合的な強さの順位が見えてくる。
同じ地区との対決でない分、順位の入れ替わりへの影響は低いが、負けるとより影響が大きいように思う。
特に東地区という強豪の中にいて、こう言っては何だが、正直他の地区よりレベルが高いので他のチームが勝った相手には負けられない。
三遠ネオフェニックスは、bj時代は浜松・東三河フェニックスとしてリーグ優勝3回を誇るリーグの顔の一つである強豪である。
そして苦戦している旧bj勢の中でNBAキャリアも豊富なジョシュ・チルドレスを獲得するなど積極的で話題性のある補強と、中地区でサンロッカーズ渋谷、アルビレックス新潟と2位を競っている好調なチームである。
前節、アルバルクに連敗したが初戦は100点ゲームで最後まで競り合った。
日曜の2戦目はアシャオル選手と藤田コーチが退場となる、他人事とは思えない出来事があったが、チームのポテンシャルは証明された2試合だった。
特に、バンビシャス奈良時代にはアシスト数ランキング1位となったこともある鈴木達也を獲得されたのはちょっと悔しかったくらいであり、上述のチルドレスの獲得も含め、戦力充実度の非常に高いチームだと思っている。
 
千葉ジェッツは前節でチーム連勝記録の9連勝に並んだ。
シーズン開幕直後苦戦した状況から脱し、勢いだけでなく内容、そして粘り強さも連勝を重ねる度にレベルアップしている。
だが、ここからは未知の世界であり、チーム創設時から常に上位を追いかける今までの立場からこれからは追いかけられる存在になっていく。
それでいながらまだ上位を捉えたわけではない。
非常にキツいプレッシャーの中で、勝ち抜かないといけない。
だが、それは目指してきた場所である。
シーズン当初は降格も危惧したが、もちろん危機感は重要だが、上を目指す強い向上心の方が今は重要だ。
ここで勝てなかったら自分たちを越えていけない。
ここからは昨日の自分たちに勝ち続けていくことを繰り返す、極めてキツイが極めてやりがいのある、勝利者が必ず乗り越えてきた試練の道になる。
 
初戦はアシャオル選手を欠いた陣容で千葉ジェッツ側にミスマッチ、特に小野龍猛のマークでそれが発生する状況ながら、前半を三遠にリードされて終わった。
オフェンスで思うようにいかない、特に石井講祐がスコアできず、苦戦の原因になっていた。
特に3Pショットが決まらなかったのが苦しかった。
それに対し、三遠はとても高いモチベーションを維持してリードされても怯むことなく戦っていた。
特に2Q終了間際の田渡、鈴木の連続3Pはジェッツの選手たちの心にヒビを入れたのでは思うくらい会場をヒートさせた。
しかし、千葉ジェッツの選手たちは苦しいながらも冷静を保てていたようだ。
試合後の阿部選手のインタビューでも「やられても仕方ないところ」はある程度織り込んでいたようだ。
3Qに入り勝負どころでターンオーバーからの連続得点で一気に逆転した。
これは三遠の選手たちに心理的ダメージを与えたと思う。
一気に追いかける立場、それも2ショット以上の差に置かれた時に切り替えるのは簡単ではない。
この時間帯のジェッツは見事で、これも選手たちの成長を感じさせてくれたシーンだった。
その後も三遠の粘りに苦しんだが逃げ切って連勝記録を10に更新した。
タイラー・ストーンが要所でドライブや3Pを決めてチームを引っ張ったのも大きかった。
 
三遠のチルドレス選手はさすがと思わせるシーンもあったが、まだチームプレイにアジャストし切れていないようだった。
特にディフェンス面、インサイドでのディフェンスで立ったままになってしまうシーンも何度かあった。
実況解説の方がコメントしていましたが、彼のサイズではNBAでインサイドのディフェンスポジションを任された経験が少ないのではということでした。
土曜日はアシャオル選手が欠場していた上に、三遠のセンター専門プレイヤーは太田選手だけで、ドジャー選手と二人でカバーする必要が生じていました。
それもあって、アウトサイドのディフェンスでマスマッチが生じていましたが、インサイドを守らないといけない立場になったと思う。
結果としてタイラーストーンのようなパワーのあるドライブに対応できていませんでした。
ジェッツにはかなり有利に働いたと思います。
 
そして2日目、たぶん忘れられない試合になるであろう一戦。
メンバーの戻った三遠ネオフェニックスと正面から戦えるという意味で現時点での千葉ジェッツには重要で、勝つか負けるかは今後の展望を占う意味でも重要でした。
また、連勝記録を更新した直後で集中力と緊張感の維持も試される試合でした。
 
スタートは素晴らしく一気に突き放すかと思われましたが、アシャオル選手がコートに入ると見る見る間にリードが失われそのまま三遠のペースに嵌っていった。
それでもミスマッチが生じていた小野龍猛にボールを集め、要所要所で彼は決め続けて三遠にリードさせない展開を作り、チームの士気も支えた。
最近の小野龍猛はショットを決めた後にブースターを煽るなどキャプテンシーが強くなっている。
とても頼もしい存在になっている。
この試合はとても苦しかったが、最終的にジェッツが勝利できた大きな理由の一つは、彼の存在でチームに常に冷静さを保ったことにあったと思う。
 
そんな小野が3Qまでで29Pも挙げる活躍もありながら他の選手のショットが思うように決まらない展開もあってリードできずに4Qへ流れた。
4Qも2度リードして突き放すチャンスがあったが三遠が粘りを発揮して追い上げてきた。
そして残り1分20秒で田渡選手の3Pショットで逆転を許した。
ヒルトンが決めて1点差にするも残り44秒で再度突き放された。
三遠のチームファウルは3、FTを与えても2Pならファウルゲームに持ち込ませて勝ち切れる。
3Pを決められても同点でオフェンスが回ってくる。
千葉ジェッツには絶対絶命な状況だった。
 
ここから先の44秒で何故このようなシナリオが待っていたのか?
何がどういう理由で結果を左右したのか?
バスケの神様がいるならば、両チームに何を見て明暗を決めたのか訊いてみたいくらいだった。
 
ちなみにサッカーの神様はこのブログで過去に登場したこともあるので、バスケの神様を知っているか聞いてみようと思う。
召喚するのにエルメのイスパハンが必要になるが。
 
実質ラストのオフェンスチャンス。
富樫勇樹が鈴木達也とのワンオンワンをすり抜けて3Pショットを打ちにいった残り24秒、鈴木がファウルをした。
一瞬、3Pアクションでのファウルと思ったが、直前想像もしていなかった判定となった。
アンスポーツマンファウル。
FTは2本しか与えられないが、直後はジェッツのマイボールで再開となる。
全て上手くいけば逆転のチャンスを得た。
頭を抱える鈴木。
これは奇跡に近いシチュエーションだった。
アンスポーツマンファウルは貰いにいけるファウルではない。
最悪2Pで打たせていいシーンでハードにファウルして止める必要はない。
信じられないことが起きていた。
それでも、まだ勝ったわけではなかった。
三遠はリードしていた。
 
巨大なプレッシャーの中、富樫勇樹は冷静だった。
そこまで冷静でいられたのは彼が富樫勇樹である証明だったのかもしれない。
FT2本を決め、そして今度こそラストチャンスとなったオフェンスで、ドライブに行くと思わせて冷静にヒルトンにフローターシュートと見せ掛けた芸術的でパス。
三遠の選手たちは完全に富樫に、そしてフローターシュートに釣られていた。
決めるヒルトン・アームストロング。信じられないような逆転。
残り13秒。
神がイタズラに考えたとしか思えないシナリオの中で、富樫勇樹は試された主役の試練を見事に演じ切った。
彼は自分を神に証明してみせた。
 
残り13秒の三遠のオフェンス。
もうファウルはできない。
ギリギリの状況でのディフェンス。インサイドの攻防からこぼれたボールがチルドレスの足許へ。
3Pショットはリングに当たって真上に上がった。
鳴るブザー。
落ちてきたボールは...外れた。
 
劇的すぎる幕切れは最後は千葉ジェッツが神の祝福を受けた。
チルドレス選手の3Pが決まっていたら三遠ネオフェニックスは大きな成長を手にしていただろう。
もちろん、これだけの試合をしただけでも成長はするだろうが。
 
ジェッツは思うようにならない試合の中で神がいたとしか思えないシナリオを手繰り寄せ勝利者となった。
それは最後にチームの顔である富樫勇樹が〆た最高のシナリオだった。
この信じられない奇跡的な勝利は千葉ジェッツに関わる全ての人々にジェッツを信じることへの強い自信を与え、成長させてくれたと思う。
こんなことはめったに起きないということは自覚しておかないといけない。
勝つには必ず理由がある。
決して何もせずに神が勝たせてくれることはない。
神の祝福を受けられるにはそれだけの理由がある。
小野が38点を決めなかったら、もっと点差が開いて完敗していた。
ヒルトンのブロックショットがなかったら負けていたかもしれない。
ほんの少しだが、神に三遠ではなくジェッツを祝福させた何かがあったのだ。
そしてこんな勝利こそ謙虚に受け止め、次の試合に向け引き締めて切り替えないといけないと思う。
 
「神を見た夜」というスポーツドキュメンタリーがある。
1998年のJリーグ、博多の森球技場で行われたJ1参入決定戦1回戦、アビスパ福岡対川崎フロンターレの試合のドキュメンタリーだ。
当時のフロンターレは下部リーグのJFLに所属し、1999年から始まる2部制のJ1に参入するチャンスを狙っていた。
一発勝負でアウェイゲームに勝たないといけないフロンターレは90分経過時点でリードしていた。
だがアディショナルタイムに何でもないプレーからのミスから同点にさせてしまい、延長戦で逆転負けを喫して、J1昇格を逃した一戦だった。
この劇的な一戦は上のタイトルでNumberに掲載されたり、ビデオが発売されたりした。
この試合はアビスパに歓喜を、フロンターレに悲嘆を授けた。
だが、今両チームの立場、そして未来への見通しは完全に逆転している。
神はたった一試合で勝利者を決めはしない。
 
ジェッツにとって、この試合の価値はこの先の戦い方、そしていかに船橋というホームタウンで欠かせない存在になるための努力に掛かっている。
全てこれからの我々次第なのだ。
そして同じことは三遠ネオフェニックスにも言える。
こういう試合の当事者に選ばれたことの意味。
こういう熱い試合をしていてタイトルも幾度も取っているのに、2千人に遠い観客動員。
だが、すべてこれからだ。
ジェッツだって今は人が入っているだけとも言えなくない。
我々は神に宿題を与えられた。その回答者に選ばれた。そんな感じなのだ。
この試合を我々と一緒に観ていたバスケの神に、最高に面白い2チームと思わせたから。
神を揺さぶった試合をしていたから。

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