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2019年9月 7日 (土)

アカツキファイブ、世界に挑んで跳ね返される。この屈辱を忘れずに先へ。

2019バスケットボールW杯・一次リーグ
第一戦 日本67-86トルコ
 
第二戦 日本76-89チェコ
 
第三戦 日本45-98米国
 
バスケットボール男子日本代表、アカツキファイブは中国・上海で開催のバスケットボールW杯に出場した。
アカツキファイブが入ったE組は世界ランク1位の米国、トルコ、チェコと一緒になった。
 
W杯予選では1次ラウンドで開幕4連敗の崖っぷちに立たされながらも八村塁の代表加入を契機に奇跡の反撃を披露した。
強豪(当時世界ランク9位)のオーストラリアを破り、崖っぷちの状況で予選最強の相手を破って勢いづいた。
そのまま連勝を重ね、見事に2次予選も突破してW杯出場を決め、そして来年開催される東京五輪の出場(開催国枠)も確保した。
そして、この大会までの間に八村塁がNBAのドラフトで指名を受けるという快挙を成し遂げた。
NBAグリズリーズでプレーもしている渡辺雄太、帰化選手のニック・ファジーカス。
そしてBリーグの強豪チームの中心選手である比江島、田中、馬場、篠山らを擁したアカツキファイブは日本バスケ史上最強とも云われた。
千葉ジェッツに所属する富樫勇樹が怪我で離脱したことは残念で、大きな損失ではあったが、カバーできる選手は揃っていた。
八村塁は大会直前まで多くのメディアに出演し、CMにも出演するなど時の人となった。
アカツキファイブに対する世間の期待は予想外に大きくなっていった。
直前のテストマッチは1勝2敗となったが、本大会での活躍は多くの日本の人に期待されていた。
 
そして迎えたW杯。
待っていた世界との差という現実は想像以上に厳しかった。
 
初戦のトルコ戦。
とにかく試合の立ち上がりが全てだった。
試合の入りにミスを連発し、そのスキに一気にトルコにリードを広げられてゲームプランが瓦解してしまった。
経験度も技術も高いチームに与えるアドバンテージとしては大き過ぎて、そこで早くも勝負はほぼついてしまった。
八村塁は徹底したマークに合い封じられた。
そしてディフェンス面ではアルゼンチン戦でも痛感させられた3Pシュートの正確さを第一に、レベルの違うオフェンスの前にいいようにやられた。
序盤からミスを連発してリズムに乗れず、1Qから大きなリードを奪われて、その後も終始トルコペースで試合は進み、完敗を喫した。
期待を集めた八村は前半は激しいマークでサイドに押し込まれるように自由を奪われ、シュートに行くと2人、時には3人で囲まれターンオーバーをさせられた。
トランジションを活かした走る展開には殆ど持って行けず、それも流れを持ってこれない理由になった。
アカツキファイブが悪かった以前にトルコがレベルが完璧に上だった。
トルコに易々とアカツキファイブのディフェンスの弱点(ファジーカスの機動性の低さ、篠山との高さのミスマッチ)をつかれた。
アカツキファイブも個のスキルは決して負けてはおらず、引き出し全開にして難しいショットを何度も決めたが、逆に言えばそれしかない状況に追い込まれていた。
それに難しいショットは毎回決まるわけではない。
その間もトルコは簡単に決め返してアカツキファイブを打ちのめした。
効率的にスコアを決め続け、プラン通りに勝ちに確実につなげていくトルコに対し、アカツキファイブはどうにか試合が崩壊しないようにすることまでしかできなかった。
待っていた現実は厳しかった。
 
続くチェコ戦。
中一日でできる限りの修正、対策をしてきた。それは試合を見て強く感じた。
アカツキファイブのポテンシャルだった。
そして、スターターに田中大貴、馬場雄大を起用。
サイズ面での不利も解消しようとしてきた。
1Qは互角の展開。
八村塁はトルコ戦前に発熱で練習を回避したという情報もあった。
だがこの日は完全に回復したようで、本来の力を発揮して真正面からもサイズのあるチェコにも対抗できていた。
そのうえで八村で決める事にこだわらず、八村からのパスで決めるパターンも披露してチェコと互角に渡り合った。
前半は一時リードを奪った時間もあった。
だが、この日のチェコも3Pショットの精度が高く、アカツキファイブに余裕を与えてくれない。
後半になるとチェコはディフェンス強度を上げて試合を自分たちペースに傾ける。
それでもアカツキファイブは果敢に戦い、対抗した。
対抗したが、対抗するので精一杯だった。
上回るには足りないものがあった。
 
開幕から2連敗で一次リーグ勝ち抜けはできなくなった。
突き付けられたのは世界との差だが、具体的にはディフェンスが問題で、悪く言えば世界ではザルだったということ。
高さの差は仕方ないにせよ、とにかく3Pを打たれ過ぎた。
打たれるスキがあり過ぎた。
世界のトップレベルではBリーグでは見られないテンポで3Pが普通に放たれている。
Bリーグでは打たれないスキが世界では十分なスキだった。
普段世界のテンポで試合をしていないことが突き付けられた。
つまりBリーグのバスケットボールと世界トップのバスケットボールでは大きな違いがあるということ。
今のBリーグのテンポでは遅いのだ。
これは重要で深刻な事実だ。
 
そしてこの大会で日本国内でもっとも注目を集めていた米国戦を迎えた。
 
今大会の米国代表はNBAでの主役クラスの選手が多数出場辞退した。
しかし、ドノバン・ミッチェル、ケンバ・ウオーカーらが出場。
他の選手たちもレベルの違う実力者揃いで、優勝候補筆頭だ。
正直勝ち目は薄いが、どこまでやれるのか?
自分たちとの違いは何なのか?
ただやられるだけで終わったらは何も得られない。
果敢に挑むしかない。
 
だが想像以上に厳しい現実がまっていた。
 
トルコ戦の時、トルコの強さを身も蓋もない強さだと思った。
だが、米国の強さはそんなトルコの数段上にあった。
試合開始1分でおそらく誰もが想像を超える事が起きると感じた。
勝てないまでも爪痕は残せるはずだと願っていた。 
それすら難しいかもと思わせるのに1分と掛からなかった。
 
マンツーマンディフェンスのプレッシャーは桁違いの圧だった。
パススピード、判断力、シュート精度、すべてが完璧に上だった。
オフェンスではパスがどこにも簡単に通せない。
ディフェンスではボールが選手間を動いていくのを目で追うのが精いっぱいで見失いかねないほどだった。
それでは相手に触れることすら難しい。自然と動きが止まる。
そこをいいように攻め込まれた。
八村塁にはボールが通らず、Bリーグでは決まる竹内やファジーカスのリング下でのショットが上から手で叩かれる。
ミスが誘発され開始から五分近く一点も取らせてもらえなかった。
日本がミスをするとか自滅とか全く関係ないレベルの力の差が厳然とあった。
45―98。
予想できたといえる人は大勢いただろうが、それが現実につきつけられるインパクトは強烈過ぎた。
ショット成功率、アシスト、リバウンドいづれも倍もしくはそれに近い差をつけられた。
 
史上最強と呼ばれた日本代表は米国の前では昔も今も同じでしかなかった。
 
相手が特別だったことは間違いない。
この大会に出られるまでの経緯も奇跡的なことだったのも5年ほど前を振り返れば間違いない。
でも頑張ったで済ませてはいけないと思うのだ。
私もこの試合が終わった直後はここからがスタートだと思った。
だが、しばらくしてそうじゃないだろと思い直した。
選手たちの試合中の悔しそうな表情を思い出した。
頑張ったよね、なんて本当に言われたいだろうか。
それに試合後の米国代表の選手たちのコメントを載せた記事を読んだ。
その記事がこれ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190906-00081752-theanswer-spo
最後まで戦ってた選手たちと会場のファン。
それが米国の選手たちに一番響いたのだ。
それだけを理由にしても、この試合を簡単に完結させてはいけないんじゃないかな。
絶対にこの悔しさを忘れずにいることが大事なんじゃない。
選手たちの中には二度と米国と戦う機会が巡ってこない人もいるだろう。
でも私たちファンは同じ立ち位置でこれからもいられる。
また自分の立場でリベンジできるはずなんだよ。
ならば、米国選手に響くくらい戦っていたファンが選手たちの今の悔しさの上に立ち上がってあげるべきなんじゃないかな。
ちょっと大げさで暑苦しいよね。
でもね、自分もフットサルのある大会で経験した悔しさ、10年以上経っても忘れられないんだよね。
忘れられるもんじゃないんだよね。
本当に選手たちもファンも頑張ったんだ。
ここまで来たことは凄いんだけど、ここまでのことで讃えたら、リスタート地点はそこより一段下になっちゃうんじゃないかな。
もったいない。
それにどんなことでも我々は今より先にしか歩きだせないんだよね。
今はここまでの通過点でしかない。
 
この屈辱は忘れない。
そしてリベンジできる可能性がある大会は一年後にやってくる。
だからなおさら今ここで、ここまで来たことを振り返っちゃもったいない。

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コメント

いつも興味深く拝見しております。

スキあらば3Pを精度高く放ってくる世界レベルの高さ、同感です。日本のディフェンスは世界レベルでは間違いなくザルで、さらに、オフェンスの要ファジーカスがマンツーマンディフェンスで穴になってしまうのをカバーするためにゾーンを敷いたというのが、対戦相手の3P攻勢に拍車をかけましたね。

日本ディフェンスは散々に揺さぶられ、完全なノーマークで撃たれ放題、しかもマンツーと違って人を守るわけではないのでボックスアウトを徹底できず、リバウンドも取られ放題の有様。

その根底にあるのは、戦術云々以前の、「個」のスキルやフィジカルの圧倒的な不足だと考えています。

オフェンスでは、八村や渡邉以外のところでは1on1でディフェンスとのズレがつくれず、苦し紛れの横パスに終始。そもそもポイントガードがゲームメイクはおろか半身になってボールキープに精一杯という有様だったのが、大変印象的でした。

ディフェンスではピックアンドロールなど使われるまでもなく、そもそも1on1の仕掛けだけでもろくも崩れる。

世界レベルとの比較で日本というチームを見ると、強みと呼べるものが何一つなく、何が特長でどんなコンセプトなのかすらわからないチームだったという印象です。

持論ですが、チームスポーツは「個々の選手の能力の掛け算」だと思っています。ひとりひとりの選手がやれることが相手と比較して圧倒的に足りない中で、それをチームで補おうにも、補おうとする周りの選手が同じようなレベルでは、決してチームとして高いパフォーマンスは望めないと考えております。

東京オリンピックに向けて、世界の経験を痛感した二本がどのように変わるのか、楽しみです。

投稿: takanori | 2019年9月10日 (火) 23時53分

コメントありがとうございます。
この記事ではアメリカ戦までで書いていますがそのあとの順位決定戦でも同様な負け方でした。
あらためて考えなおすと、体格や技術以前にトレンドの情報収集が不足していたんじゃないかなと思います。
NBAは見ていても他国の代表の試合までは...みたいな。
他国が当たり前に志向しているものを何も知らないで大会に出たみたいに見えました。
そうだとしたらBリーグのバスケは世界では遅れているということになります。
Bリーグのバスケスタイルから変えていかないと代表の強化どころか足を引っ張りかねないんじゃないかと。
シーズン前に全チームのHCを一同に集めて、ラマス首座で会合をしないといけないんじゃないかなとも思えました。
でないと一年しかないので東京五輪で同じことになるでしょうね。
それこそバスケは本当に好きな人以外見ない競技になると思います。

投稿: AWAN渦帝 | 2019年9月14日 (土) 07時49分

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