必死なのはみな同じ。
2021 J1リーグ
ニッパツ三ツ沢球技場 10月16日(土)
横浜FC 5 - 3 徳島ヴォルティス
【得点】横浜:9'松尾 佑介、20'サウロ ミネイロ、45+6'サウロ ミネイロ、68'高木 友也、90+2'渡邉 千真
徳島:35'岩尾 憲、56'垣田 裕暉、66'垣田 裕暉
代表のW杯予選による中断期間の練習がどのような空気だったのかなと思っていた。
いい雰囲気であることはいいのだが、油断がないといいなあと。
中断明けからの相手はこの2週間に自分たちの修練に必死になっているだろうなと思っていたから。
そして、彼らの一番のターゲットはヴォルティスなんだと本当に分かっているかなと。
追いかける立場から追われる立場(これまでも追われてはいたが)になったことがどう影響するかなと。
それを今検証することはできないし、意味もないし。
ただ、甘くないことはこれ以上なく痛感させられたと思う。
久しぶりの現地参戦をした。
天候は悪かったが、現地に集まったヴォルティスサポーターはメインスタンドにも多かったことはちょっと感激した。
マナー的にメインスタンドでアウェイグッズを着ることは考えるところがある。
が、こんなに渦サポ多いんなら、もっとグッズ持ってくればよかったと思った。
残留に向け足が動く味方はこんなにもいるんだという事実は心強い応援になるだろう。
少なくとも注意のアナウンスがされるような”声”より遥かに。
試合前に横浜の元選手の内田さんが場内でスタメンについてコメントしていたが、その中で速い選手を前線に揃えた布陣と言っていた。
もっとも中断前の鹿島戦と殆ど変わっていないスタメンではある。
だが、成果を出した布陣がこの試合でも活きると確信して準備してきた横浜FCの選手たちはこの試合を待ち望んでいただろう。
いい準備ができて、一切迷いなくこの試合に挑めたことは彼らの得点シーンにいづれも表現されていたように思う。
先制点、バケンガのトラップが少し大きく跳ねたところを後ろからカットされた。
バケンガは倒れたが、ボールにはいかれていた。ファウルと判定されなかったことはまあ納得できる。
ただ、その数秒後にシュートがクロスバーの下を叩いてゴールが決まっているとは想像できなかった。
松尾選手は迷いなくダイレクトでシュートを打った。
ここで気づくべき、そして改めるべき意識はあったのだろう。
横浜FCはヴォルティスからボールを奪うと、手数を掛けずにDFの裏へボールを通していた。
タイミングがずれるとオフサイドになっただろうサウロミネイル選手の飛び出しとタイミングを合わせる練習はこれでもかと2週間やったのかもしれない。それが結果に結びついた。
DFの柱であるカカの脇を抜け出されて2失点目を喫した。
ここで本当に自分たちをどう攻略しようとしているのか気づくべきだった。
ここでもまだ試合をひっくり返す余地は十二分にあったはずだから。
それは岩尾のゴールでも裏付けられていた。
これ以上失点しないようにここで引き締めるべきだったのだ。
3失点目は本当に余計だった。
スローインからフリーの選手にポンポンと繋がれ、同時にミネイロ選手は動き出していた。
股を抜かれた上福元(この日散々だったわけだが)に止められたはずという声は酷だ。
二度も同じようにミネイロ選手に裏を取られたのだから集中力の欠如はフィールド陣に間違いなくあった。上の写真は2失点目以上にカカは置いていかれている。もっとも直前はジエゴがミネイロ選手の近くにいたが、完全に置き去りにされている。
やられちゃいけない形と時間帯だった。
それでも今のヴォルティスは力を持っている。
同点に追いついたことでそれは十分に証明された。
得点の形もとてもよかった。
個人的には後半からゴール前にいる時間が多くなったバケンガのポジショニングも好影響になっていたように思う。
前半は、下がって、しかもワイドで受けたりすることで岸本が前を塞がれた形になって上がれていなかったように思う。
ワイドに攻めあがるスペースができたことは岸本だけでなく、逆サイドの西谷にも自由度を高めたと思う。
エリア内で宮代がドンピシャで垣田に合わせた2点目。
西谷がエリア内で上げ切ったクロスにマークを外した垣田が合わせた同点ゴールは共に見事だった。
だが直後に交代で入ってきた高木選手には中途半端な対応をしてしまった。
彼に与えられたミッションはゴールであることは明らかだったのに、シュート場面で目の前に2人いながらどちらも寄せなかったのは痛恨のミスだった。
守備で厳しくいくという意識がもっと必要だった。
それは5失点目のシーンでも報いになった。
ドゥシャンがあそこはファウルでも当たりにいって止めるべきだった。
上福元にとっては本当に散々だった。
なりすましもいるんだろうが、上福元に全ての責任があるような声は全く賛同できない。
もちろん責任の半分はGKである以上ある。
だが、もっといい選手を”買え”みたいな声がサポからあがるようなチームにいい選手はいかないよ。
彼らは人間だから。”買われる”モノではないからね。
人間であることは石井の負傷にも言える。
前半終了近くに今季2度目らしい脳震盪を起こしながらその後もしばらくプレーしていた。
下のスライディングしている写真はその時間帯の撮影。
2度目の脳震盪はやばいんだよ。プレーしちゃだめなんだ。
柏に在籍したGKの中村選手も1シーズン中に2度目の脳震盪を経験したあとはシーズン最後まで出場しなかったからね。
石井の健康を気にする声はもっとあっていい。
選手は人間なんだ。負けたことは悔しいが、それで置き去りにされていい事実ではない。
今からでも労う声は増えてほしい。
試合に話を戻すが、ヴォルティスが甘かった以上に、残留を目指す相手はどこも諦めていなくて必死であることが上回った結果がこれだと思う。
そして大事なことは、この次も必死にこの試合に準備してくるであろう相手だということ。
それが結果に繋がる力をどこも持っているのがJ1だということ。
この試合からそれを学ばないと次もやられるし、それは降格に直結するよ。
大分は仙台戦、そして徳島戦と6ポイントゲームが続く。
最も高いモチベーションで挑んでくるよ。
この試合はやられたが、まだ残留圏にいることも事実で、学んだことを活かせればこういう負けもしたよねは財産になる。
必死にやるしかない。そして、みんな必死。
J1残留したい。
その思いが試合で表現されていかないといけない。
希望は残っているわけだから。
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